ISO14001
ISO14001とは
国際標準化機構(International Organization for Standardization)は1947年に設立され、現在130カ国以上の参加があります。世界共通の規格・基準を10,000以上設定してきましたが、 ISO14001は環境マネジメントシステムに関する国際規格であり、1996年に発効され、2004年に規格改訂が行われました。
ISO14001には以下の特徴があります。
経営管理のシステム規格である
公害規制とは異なり、数値的な管理値(例:○PPM以下等)を定めたものではありません。環境マネジメントシステムが有効に機能するための諸条件を定めた規格です。
自主的取組みができる
自主的に導入するかどうかを決め、方針を定め、目的・目標の水準も自分でできる範囲で決めます。
あらゆる組織で導入が可能である
あらゆる地域、規模、業種において独立した管理機能があれば導入が可能な規格です。日本国内でも製造業をはじめ、行政、工業試験所、病院等様々な業種で広がっています。
継続的改善ができる
システム規格であるため、継続的改善の対象は環境マネジメントシステム自体となっています。マネジメントサイクルにより環境を改善する目的に沿い、システムを改善することができます。
国内では既に20,000以上の事業者がISO14001を取得しています。日本は、世界の中で最もISO14001を取得した事業者が多い国となっています。近年では、公共調達や大手企業を中心に、取引の中で優遇される条件にもなりつつあります。
自己適合宣言ができる
ISO14001:2004 序文には、「この規格は組織の環境マネジメントシステムへの要求事項を示し、組織の認証・登録及び/又は自己宣言に利用できる。」と記載されています。また同規格の1.適用範囲にも規格との適合性の示し方として自己宣言を含む4つの方法が記載されています。したがって必ずしも認証機関による認証取得だけではありません。
国内では既に20,000以上の事業者がISO14001を取得しています。日本は、規格制定以来、世界の中で認証取得件数で首位の座を保っていましたが、現在は中国に抜かれ第2位となりました。公共調達や大手企業を中心に、取引の中で優遇される条件などの動機付けから普及してきましたが、環境省のエコアクション、手抜きをした日本国内規格などの登場で事業者が分散したこと、並びにISO認証維持活動のマンネリ化、米国発の世界同時不況の影響などの理由から、2009年6月時点でJABへの登録件数は初の減少に転じました。ISO14001認証取得は飽和の時代を迎えました。
一方で、米国のオバマ政権での環境重視政策、日本の民主党への政権交代での環境重視政策、東京都の排出権取引制度の開始、ISO50001(エネルギーマネジメントシステム国際規格)制定検討などが展開されており、環境マネジメントはツールが多様な時代に入りました。
環境マネジメントシステムの必要性
社会における環境問題の多様化、それに伴う環境意識の高揚、企業経営における多様な利害関係者との対応の必要性と社会的責任の増加が、企業の環境経営を後押ししています。
また、環境への配慮を行うことは、当初はコストがかかったとしても、長期的にはコストダウンやリスクの軽減につながり、企業経営の改善に寄与します。
社会動向を考慮する企業は、環境にも配慮した行動をとります。例えば法規制への対応はもちろん、環境管理のシステム化、情報公開、社会システムの利用等を検討します。
そうした企業が、社会動向に敏感な企業、顧客の動向に敏感な企業、顧客志向が根付いている企業と言えるのではないでしょうか。
企業の環境経営を進めるためのツールとして、環境マネジメントシステムのほか、環境報告書・環境会計、グリーン購入、環境教育などがあります。これらを有効に活用することにより、環境に配慮した企業経営を推し進めることが可能となります。
環境マネジメントシステム導入のメリット
- 経営基盤の強化
- PDCAサイクルに基づく「目標達成」のシステム強化
- コストダウン(経費削減)
- エネルギー、原材料の有効活用や効率向上、廃棄物コスト削減
- 取引関係の改善・強化
- 取引先の取得要請への適応、先行的対処による取引優位性
- 信用力の向上
- 社会における評価の向上
- 環境汚染リスクの回避
- 環境汚染の可能性を予防し、発生後の影響を緩和
- 企業活動のベクトルあわせ
- 企業行動原理の確立による社内意識の統一
認証取得までにPDCAサイクルを1回転させる
ここでは、環境マネジメントシステムの中心的な考え方であるPDCAサイクル(Plan:計画 Do:実施 Check:確認 Action:見直し)を説明します。このサイクルによって、継続的に環境問題の改善が図れます。
- 環境方針
- 具体的にどんな環境改善に取組むかを経営者が決め、公表する
- Plan:計画
- 何が環境に著しい影響を及ぼすのか特定する
- 組織が守るべき法律、約束事を特定する(環境関連法規制)
- 方針を達成し、著しい環境影響を改善すべく、
目的・目標を定め、目的・目標を達成する具体的な手段を策定する
- Do:実施
- システムを適切に運用するために体制をつくる
- 教育・訓練を行う
- 組織内外とのコミュニケーションの方法を確立する
- システム文書を作成する
- 文書管理の方法を作成する
- 著しい環境影響を持つ作業や活動を特定し、適切な管理を行う
- 緊急事態を明確にし、予防・緩和の手順を策定する
- Check:確認
- 計画した取決めが適切に実施されているか監視し、記録する
- 法規制等の順守状況を監視し、記録する
- 不適合を是正し、予防する
- 運用、監視、見直しの状況を記録する
- 規格、計画に合致し、適切に実施されているかを内部監査する
- Action:見直し
- 経営者が、システム全体を見直す
環境影響評価
a 環境影響評価とは…
環境影響評価は環境マネジメントシステム(EMS)構築の中でも最も重要な要件である、と言っても過言ではありません。
なぜなら、その後に続く環境目的・目標、実施計画が環境影響評価の結果に基づいて策定されるからです。
「環境影響評価」とは、事業活動全般、製品及びサービスが環境に及ぼす影響を識別し、その度合を評価することです。環境
影響の重大性により優先順位をつけ、高いものから対策を打つことによって、経営資源を効率的に配分し、効果を最大にする
ことができます。
b 環境影響評価の方法
環境影響評価の手法は、ISO14001規格上では規定されていません。そのため、第3者を納得させられる論理的一貫性があれば
どのような手法を用いてもかまいません。
一般的には、プロセス分析とinput-output(インプット・アウトプット)分析、アルゴリズム法などが普及しています。
これらの手法とプラスの環境影響評価を組み合わせていくことが継続的改善の鍵となります。
環境関連法規制及びその他の要求事項、順守評価
環境ISOの特徴のひとつに、法的及びその他の要求事項の調査、特定、順守、評価のPDCAサイクルを構築することがあげられます。
このしくみの良し悪しが運用の程度を決めます。組織の環境側面に関連した法規制を調査し、その要求内容を把握し、必要なルール
に落とし込みます。勿論、組織内への周知も行います。そして日常的な順守評価と、定期的な順守評価を行い、まずい点を改善します。
組織のCSRの観点からシステムを構築していくことになります。
環境マネジメントシステム改善の方向性
環境マネジメントシステムの活動テーマで、いわゆる”紙・ゴミ・電気”と言われる定番の活動があります。しかし、この活動にいつまでもしがみついていてはシステム運用のマンネリを招きます。これを打破することが求められています。 著しい環境側面、法的およびその他の要求事項は現状分析型であり、それ以外の考慮事項はデザインアプローチ型の目的・目標設定といえるかもしれません。
例えば、事業上の要求事項として中期経営計画の達成指標としての設定や、利害関係者の見解を考慮して環境格付けや環境経営度調査のランキングを高めるなどの環境目標もあり得ます。また、自社のもつ優れた技術を環境関連用途に応用するなどの目標設定も戦略的です。これらのテーマは環境側面の特定からは抽出されにくいので、デザインアプローチ的に「こうありたい」「こういう方向を目指したい」として目標設定するということです。
決して、もう環境側面を考慮しなくてよいということではありません。現状分析により足元の環境上の課題をしっかり押さえた上で、中長期的に自社の将来を見据えて戦略的テーマに取り組んでいくことが重要です。その際、公示されているISO14001の有効性を高める資料などを参考にすると方向付けの判断のよりどころになるでしょう。例えば、①長期的な視野にたった「息の長い」「粘り強い」活動、②本来業務(ビジネスプロセス)における活動、③社会(ステークホルダー)から信頼される活動、といった活動が環境マネジメントシステムの有効性を高める方向として提唱されています。
設定・レビューする目標を検討する際に、期待する達成効果も検証するでしょうが、地球・地域環境にどのような好影響を与えるかという評価軸とともに、自社の経営にどのように貢献するかという視点でも評価するとよいのではないかと思われます。EMSの効果を直接的な地域・地球環境への好影響だけに限定してしまうと、取り組みテーマも狭めてしまうことになるからです。
自社の経営に好影響を及ぼすことが、安定した企業活動を通じて社会貢献にもつながり、最終的に環境にも好ましい影響を与えると考えてもいいのではないでしょうか。「風が吹くと桶屋が儲かる」式の発想で広がりを持たせるとよいでしょう。
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- 最終更新:2009-11-20 15:37:32
